1998年02月05日経営リリース

微細プリント配線板の製造・開発会社を設立

 旭硝子株式会社(本社:東京、社長:瀬谷博道)は、株式会社日本オート技研工業(本社:神奈川県、社長:佐藤政一)の資本参加を得て福島県西白河郡西郷村において、微細プリント配線板の製造・開発会社「旭プレシジョンサーキット株式会社」を昨年11月に設立し、本年1月末から工場の建設に着手しました。

 微細プリント配線板は、近年電子機器の軽薄短小化に伴う高密度実装化、半導体の多ピン化、部品接続用ソケットの省略等の影響を受けて導体ピッチの微細化の要請がますます高まっています。特に、マルチメディアに必要な通信関連分野では、微細プリント配線板は必須部品となってきています。パソコン、通信機器周辺に使われている微細なピッチを必要とする配線板の市場規模は、今年は200億円、2002年には540億円を超えるものと予想しています。

 旭硝子は、ここ数年来、微細プリント配線板の開発・試作を日本オート技研工業と共同で推し進め、さらに配線板の材料についても検討を行っており、特に低誘電材料の開発にも着手しています。また、旭硝子は、外国系半導体の販売とHIC(ハイブリッドIC)についても実商を行っており、最近の顧客からのモジュール化、パッケージ化の要求に対応すべく、これまで蓄積してきたノウハウを活かし、MCM(マルチチップモジュール)用プリント配線板等への応用検討を行っています。一方、日本オート技研工業は、昭和55年の会社設立以来、プリント配線の製造・販売を行っており、さらに、一貫して高難度の配線板の試作に挑戦し、高い試作水準を誇っています。

 両社ともに、微細プリント配線板事業は今後さらに大きく成長するものとの共通の認識で一致し、両社の持つ力を最大限に活用して市場に早く参入することが望ましいとの合意の下に、本事業を共同で行うことに致しました。新会社への当初の出資額は、旭硝子4億円、日本オート技研工業5千万円です。

 なお、「旭プレシジョンサーキット株式会社」の営業運転開始は本年夏の予定です。

 新会社の総投資額は約26億円の見込みで、平成10年初年度の生産額は約20億円、次年度は約50億円を目標にしており、販売は旭硝子電子事業本部半導体・回路事業部で行います。

《ご参考》
1.旭プレシジョンサーキット株式会社 概要

本社所在地 東京都千代田区丸の内二丁目1番2号
工場所在地 福島県西白河郡西郷村大字米字椙山9の32
(エルナー福島(株)本社工場敷地内)
社長 宮崎 英之(旭硝子より派遣)
資本金 4億5千万円(4月以降旭硝子にて増資し、10億円とする予定)
出資金額 旭硝子(株):4億円、(株)日本オート技研工業:5千万円
従業員 スタート時約55名
設立 平成9年11月

2.株式会社日本オート技研工業 概要

本社所在地 神奈川県相模原市上溝4478―2
工場所在地 東京都町田市鶴間字15号1592
社長 佐藤 政一
資本金 1、000万円
従業員 60名
生産販売品目 シールド板、多層配線板、プリント配線板製造設備等
設立 昭和55年1月

3.微細プリント配線板製品説明

4.用語の説明
導体ピッチ

MCM(multi-chip module:マルチチップモジュール)

複数のベア・チップ(封止する前の裸の半導体チップ)をプリント配線板に直接搭載し、一つの機能にまとめたもの。

HIC(hybrid IC:ハイブリッドIC)

セラミックス製プリント配線板に表面実装部品(ICチップ、抵抗、コンデンサーなど)を直接搭載したもの。

以上